第1章
第一話 アンケート用紙
スマートフォンに流れてくるニュースを眺めていて、思わず二度見した。東大新入生のアンケート結果だ。自民、チームみらい、国民民主——上位3党の顔ぶれを見ていると、何か奇妙な感覚に襲われる。
「え、みんなこんなに違う考え方してるんだ」
つぶやいた言葉が、隣の席の友人に拾われた。同じ新入生の彼女も、同じアンケートをどこかで見ていたらしい。
「だよね。正直、自分がどう答えるのかもよくわからなかったし」
高校までの世界では、政治について深く考える機会って、実は少なかったような気がする。受験勉強に追われて、テレビで見かける人物の顔と名前を一致させるのが精一杯だった。だけどここに来て、同じキャンパスにいる数百人の新入生が、それぞれ異なる答えを持っているんだと思うと、急に世界が立体的に見える気がした。
「この結果、何か意味があるんだろうか」
「さあ? でも、みんな何かしら考えてるってことじゃない?」
そう言われて、また画面を眺める。数字の羅列は、見方によっては、この世代の輪郭を映す鏡に見える。
明日の講義で、この話題が出るんだろうか。それとも誰も触れないんだろうか。どちらにしろ、何か面白いことが始まる予感がした。
続きはまもなく
目次