第1章
第一話 効果と代償
SNSで話題のあの薬を打ち始めて三ヶ月。鏡を見るたび、頭頂部の地肌がはっきり見えるようになっていく。最初は気のせいだと思ってた。朝のシャンプーで落ちる髪の量が明らかに増えたのに気づいたのは二ヶ月目。オンラインコミュニティを覗いてみたら、同じような悩みを抱える人たちが静かに存在していた。医者は「個人差がある」の一言。ネット検索では相反する情報ばかり。体重は確かに落ちた。周囲からの反応も変わった。でも鏡の中の自分の髪は戻らない。友人たちは「そんなの聞いたことない」と言う。一般的な情報では見かけない話だから。でも確実に何かが変わっている。便利さと引き換えに失うものの存在を、多くの人はまだ気づいていないのかもしれない。あるいは気づいても、それでも続けるのか。その選択の重さについて、誰も話さない。
続きはまもなく
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