第1章
第一話 帰宅のショック
帰宅した時点で、違和感に気づくべきだった。玄関ドアハンドルが、妙に安っぽく見えるのだ。
親に経緯を聞くと、昼間に業者が来たらしい。自分がネットで依頼した交換作業。対応してくれた親の話では「素早く終わった」とのことだった。素早い。その言葉が、今になって引っかかる。
請求書を見て、頭が真っ白になった。11万円。玄関ドアハンドルの交換に、11万円。
業者のSNS投稿を遡ってみても、施工例は丁寧に見えた。なぜこんなに高いのか。なぜこんなに粗い仕上がりなのか。
消費者ホットラインに電話した時の「難しいですね」という言葉が、今も耳に残っている。難しい。つまり、自分の落ち度も関わっているということか。親に判断を委ねたこと。事前に金額を確認しなかったこと。
鏡を見るように、自分の部屋から玄関を眺める。毎日その異物感を感じることになるんだろう。消費者トラブルというより、判断ミスの後始末。そんな気がしてならなかった。
続きはまもなく
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