第1章
第一話 予期しない贈り物
父が支援物資の話を持ち出したとき、正直なところ心配だった。被害が大きいというニュースは見ていたが、実際に現地へ行くというのは別の重みがある。それなら少しでも役に立つものをと、家中から物資をかき集めた。水、食料、懐中電灯、医薬品。「これだけあれば何かの役には立つだろう」そう思いながら詰め込んでいった。
父が帰ってきたのは夕方。玄関を開けた瞬間、甘い香りが漂ってきた。見ると、父の手には段ボール箱。そしてまた段ボール箱。さらに別の袋まで持っている。
「え、これ何ですか」
「梨だ。友達が『こんなに持ってきてくれたから』って」
梨。季節の実。その言葉が意外すぎて、一瞬言葉が出なかった。支援に行ったのだから、受け取る立場ではなく、与える立場のはずだった。それなのに。
段ボールを開けると、きれいに詰められた梨が現れた。一つ手に取ってみると、ずっしりとした重さ。表面はきれいで、ほのかに温かい。
「向こうは大変らしいのに、こんなに」
父は苦笑いして言った。「困ってる時だからこそ、だそうだ。自分たちにまだこれくらいある、っていう証だと思ったんだろう」
その言葉を聞いて、支援物資を持たせることの意味が、少し違う形で見えた気がした。
続きはまもなく
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