第1章
第一話 営業という名の訪問
玄関のチャイムが鳴ったのは、退勤後の疲れた時間帯だった。
「営業です」と名乗る人物は笑顔で、いくつかの質問をしてきた。最初は製品の説明だと思っていた。だが話が進むにつれ、質問の内容が微妙に変わっていった。
「ところで、こちらのお住まいは何人で?」「どういった仕事をされてます?」「休日は何をされてますか?」
その時点ではまだ、ただの営業トークだと考えていた。世間話の範囲だと。しかし後になって、別の訪問者からも同じような質問を受けた。別の地域の知人からも。
そして気づいた。細部が、どこかで記録されているのではないか、という違和感が。
体形のこと。性格について言及されたこと。人間関係の話が何故か詳しく聞かれたこと。
「営業」という言葉の後ろに、別の目的が隠れているのではないか。その時から、日常の会話が違う意味を帯び始めた。
続きはまもなく
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