第1章
第一話 初夏の来客
駅から15分、細い路地を抜けると現れる。看板も古ければ、のれんもくたびれてる。でもなんか惹かれて入った。
中は想像以上に静かで、空調もほぼ効いてなくて、初夏の湿気がそのまま。カウンターに座ってメニューを見てたら、おばあさんが「ソフトクリーム、食べます?」って聞いてきた。
なんでここにソフトクリーム?って思ったけど、頼むことにした。
出てきたやつが、予想と全然違った。濃い抹茶色で、ちょっと地味。でも匂いが凄い。本物の抹茶の香りがしっかりしてる。
舐めたら、最初は苦くて、そのあと甘い。不思議な味わい。冷たくて、でも何か温かい感じもした。
「昔は、もっと繁盛してたんですよ」
おばあさんが急に話しかけてきた。窓の外を見てる。雨が降ってきてた。
「今の人たちはね、わざわざこんなとこ来ないんですよ」
自分もそうだ。偶然迷い込んだだけだ。でも、このソフトクリーム。なぜか、もう一度食べたくなってた。
続きはまもなく
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