明日の記憶を売る店1/3
1. 傘を二本持った女
駅裏の路地に、その店はある。看板はなく、買い取るのは品物ではなく「明日の記憶」だけ。
最初の客は、傘を二本持った女だった。「明日、雨が降ることを忘れたいの」と彼女は言った。
記憶は、手放した人のところへ一番よく降る。
店主は帳面を開き、女の明日から雨を一滴ずつ書き写していった。
駅裏の路地に、その店はある。看板はなく、買い取るのは品物ではなく「明日の記憶」だけ。
最初の客は、傘を二本持った女だった。「明日、雨が降ることを忘れたいの」と彼女は言った。
記憶は、手放した人のところへ一番よく降る。
店主は帳面を開き、女の明日から雨を一滴ずつ書き写していった。